広報誌同友にいがた
2023年4月号
新潟県中小企業家同友会
広報誌 DO YOU KNOW?にいがた 4月号 Vol.422
2023年4月号
新潟県中小企業家同友会
広報誌 DO YOU KNOW?にいがた 4月号 Vol.422
■表紙
志と挫折 経営者への道
【株式会社SCアカデミー 代表取締役】 齋藤 翔太 氏 新潟支部イースト地区
■Contents
◇PEOPLE LIFE data No.035
未来を創る! 新潟の企業家たち
「考える力」と柔軟性
齋藤翔太さん 株式会社SCアカデミー 代表取締役
◇企業進化論 Vol.97
歴史に隠れたストーリーを訪問インタビュー
有限会社 新光園
ガーデンスタジオ 雅楽庭
◇今月のイチオシ
企業の商品やサービスなどをピックアップ!
何気ない一言から企業間商品開発が実現
小池機工㈱×㈱ヒューマンリソース 知育玩具新ブランド
【BOLTI ボルティ】
◇ANOTHER REPORT
例会や行事の報告など、情報共有の場としてフリーテーマで同友会の情報を発信します。
中小企業問題全国研究集会in長野
参加レポート
◇INFORMATION
同友にいがたに関するアンケートにご協力ください。
新入会員紹介
- PEOPLE LIFE data
- 企業進化論
- 今月のイチオシ
- INFORMATION
- ANOTHER REPORT
経営者への道
阿賀野市出身の私は、生物が好きで理系の高校から大学へ進学しました。在学中、知人の病気や死をきっかけに、「命を救う仕事がしたい」と大学を中退。精神科医を目指し、新潟に戻り予備校に通い国立の医大を目指します。すぐに合格することはできず、浪人生活も困難だったため、塾講師として働きながら勉強していましたが、諦めに近い形で挫折を味わいました。自分でも精神的に参っている時期もありましたが、塾講師として生徒たちに関わり、学び、成長する姿を肌で感じ、「自分の経験を生徒たちにはしてほしくない。伝え、学び取って、生徒たちが進んで行ってほしい」と思うようになり、教育に関わって行く道を選びました。そして、教育のカリキュラムの問題に気が付き、これでは進学率は上がっていかないと考え、自身で塾を経営しようと考えました。
その後、繋がりのある塾で講師がいなくなってしまい探しているというお話を聞き、阿賀野市の塾で1年ほど働きます。この時、地域の需要と自身の「国公立大学進学率を伸ばす」という目的がマッチしていないと感じ、24歳の時に独立を決断。比較的難易度の高い国公立大学への進学需要の高い新発田エリアに、株式会社SCアカデミーとして起業しました。
塾としての方針と「考える力」
子供たちの未来
SCアカデミーはS"solution(解決力)"と"creation(創造力)"を持った生徒を送り出すという想いが込められています。
塾は、いくつかの形式に分けられていますが、SCアカデミーは個別指導のスタイルで、生徒の「学び方」に寄り添い、カリキュラムでの勉強ではなく「生徒一人ひとりが日々勉強で何をしないといけないのか」ということを逆算し、計画的に勉強ができるための指導を行っています。今の時代の子供たちの考え方に合う、効率的な勉強をしてもらっています。
現代の子供たちは、小さなころからスマホやタブレットでインターネット、SNSに触れ、答えを見つけ出す「検索能力」はずば抜けています。しかし、"検索すれば答えが出る"と思考停止的に一瞬で答えを出してしまうため、「なんで、どうして」という部分の確認が苦手なケースが多いです。その部分を指導するだけでなく、個人個人が自習の時間を大切にして学びなおす時間を大切にしています。
子供たちの成長、学力の向上には柔軟さが大切です。そしてそれは子供たちだけでなく、保護者や周りの大人たちの柔軟さが作り出す環境が影響しています。ぜひ、柔軟に物事を考えるということを意識してみてください。
同友会の繋がり
同友会に知ったきっかけは、2017年にあった青年部会15周年例会にゲスト参加したことでした。その後、独立し経営が落ち着いてきたことから「他業種の方と話がしたい」と思っていた頃に誘っていただき、2021年に新潟支部に所属しました。初めはどのように活用していいかわかりませんでしたが、例会に参加し、グループ討論をすることで自分の考え方が凝り固まってしまっているということに気が付きました。「あなたの話し方には"自分に自信がない"というのが出てしまっている」とズバッと言われましたが、妙に腑に落ちました。
同友会は人との繋がりが濃く、より近しい経営環境や規模感の方やその経験を持つ方とのコミュニケーションが取れるため、異業種のお話もその中に自分の目標設定がしやすいと感じています。みなさんが、腹を割って自社のかなり具体的な体験を話し合えることが、私にとっての魅力です。
株式会社SCアカデミー
代表取締役 : 齋藤 翔太 氏(新潟支部イースト地区)
事業内容 : 中学生と高校生を対象とした個別指導の学習塾
住所 : 新発田市豊町2丁目10-23 ダイアパレス ライブステーション一階
設立 : 2018年7月
従業員数 : 6名
TEL : 0254‐42‐9042
HP : https://scacademy-shibata.com/
会社の紹介と経営指針の成文化
有限会社新光園は祖父が創業し、私で3代目になります。地域の祭りで植木を売るところから始まり、徐々に造園業となっていき、現在は民間工事を中心にお客様の要望に最初から最後まで一貫してお付き合いしていく体制で行っています。
同友会に入会し、2020年の11月からの第4期経営指針成文化と実践の会を受講したことをきっかけに、社員との関係性や社風が大きく変わり始めました。10年ビジョンを作成する際、社員と共に自社の未来を考えようと話し合い、ベテラン社員だけでなく新人社員も私の何気ない言葉に率直な意見を出してくれ、自分たちの目指すところが徐々に一致していき、「これがチームなんだ」と実感しました。
10年ビジョンの実現
同友にいがた2021年12月号で取材いただいた際にお話ししていた、モデルガーデン「ガーデンスタジオ雅楽庭」が完成しました。「非日常を提供する」をコンセプトにカフェスペースと体験型のモデルスペースを造りました。自然が映えるよう、外観は黒を基調にし、内装は同じ理由からグレーを中心に配色されています。店内にはテラリウム等も配置し、ここで過ごす時間でより自然を体験していただけるようなスペースにしました。施工に関するご相談でご来店いただく際は、パーテーションの個室スペースにご案内し、カフェスペースと隣接させることで、より特別な空間での打ち合わせを体感できるようになっています。
モデルスペースは、住宅用のプールやサウナ・キャンプテント等、弊社で用意できる「夢のガーデンライフ」をイメージしました。ここは、予約制で貸し出しも行っており、カフェスペースとはパーテーションで区切ることで、非日常的な魅力を体感できる空間になっています。
駐車場をスロープ式にしたことで、車いす利用のお客様もご来店いただくことができ、利用後に非常に想いのこもったメールも頂いたことが本当に嬉しく生きがいだと強く感じました。
会社変化と同友会
指針の受講時には「夢」の中でした。事務所の建て替えを検討する時にたまたま補助金の存在を知り、好機と捉えて一気に計画を進めました。10年ビジョンの作成を社員と共に行ってきたことは、このモデルガーデンを始める上で大きく、社員も変化への理解を示してくれました。エクステリア業界では、このようなモデルスペースを隣接する企業も多く、関西に視察に行った際に「いいな」と感じていたことがスタートでした。県内には同様のスペースがあまりないこともあり、10年ビジョンの中に掲げていました。
衰退する業界で生き抜くためには変化が必要ですが、これは経営者の感覚です。業界のコミュニティに参加したり、同友会で腹を割った話し合いができることが、自社に変化を与えるきっかけになっています。また、県外同友会の例会に参加し、エリアの違う同業者と話し合うことも、私にとっては非常に大きな経験でした。
自社の次の課題は、「競合にならない仕組み・体質」です。今までと変わらない自社の強みに対し、モデルガーデンのような独自性を武器にして、新たなアプローチを考えていきたいです。
新潟支部イースト地区の小池茂範さん(小池機工㈱ 代表取締役)と、同セントラル地区東條英明さん(㈱ヒューマンリソース)がタッグを組み、知育玩具を開発しました。
ボルトとナット、そして3Dプリンターで作ったパーツを組み合わせてできたこの箱が【BOLTI】です。ブランド名は“Bolt(ボルト)”と“Tinkering(いじくりまわす)”から名付けられました。
内容はいたってシンプルで、ボルトとナットを外し、箱の中の部品をいじって「何かを創る」。この「何かを創る」というところに、ゴールなく自由に遊べ、ネジの感覚を確かめたり思いついたことを試行錯誤しながら没頭できる。と東條さんは話します。
同友会を通じ、東條さんのプログラミング教室の一環として、“企業案件”を依頼したところから始まったコラボレーション。新潟支部のなじランチ(お昼のランチ会)で「最近、うちの生徒がねじとボルトで夢中になって遊んでるんですよね」という何気ない会話から、“機械工具を障がいのある子供たちの発育にどうにか役立てられないか”と話し合いはじめ、トライ&エラーを繰り返し、専門家(大学教授や特別支援学校の先生)の知見を頂きながら1年以上をかけて今の形にたどり着きました。
現在、施設を中心に営業を開始しています。BOLTIの新情報をお楽しみに!
小池機工株式会社
住所 : 新潟市東区卸新町2丁目2066-9
TEL : 025-270-5250
代表取締役社長 : 小池 茂範 氏(新潟支部イースト地区)
同社CONNECT FOLK : 渡邊 栄貴 氏(新潟支部ウェスト地区)
事業内容 : 機械工具商事業、映像広告事業(CONNECT FOLK)、キャンプ事業(NORAC)、知育玩具事業(Codomoto)
株式会社ヒューマンリソース
住所 : 新潟市西区平島3-7-5中山ビル201
TEL : 025-211-4652
取締役学校長 : 東條 英明 氏(新潟支部ウェスト地区)
事業内容 : プログラミング教室、企業コンサルタント
2023年5月19日15:00~19:00 朱鷺メッセ中会議室にて新潟県中小企業家同友会第42回定時総会を開催いたします。第42回定時総会では、各種議案と共に、新潟県中小企業家同友会の一般社団法人化が行われ、現在の新潟県中小企業家同友会から一般社団法人新潟県中小企業家同友会へと移行される予定です。
第2部では、2023年度代表理事による特別報告「同友会がよくわかる‐同友会の学びと実践-」で、【何のための同友会か】を深めます。「同友会を同会社に生かすのか」というヒントが得られると思いますので、ぜひご参加ください。
総会終了後、ホテル日航新潟にて一般社団法人化の祝賀会も開催いたします。ぜひ会場へお越しいただき、新潟同友会の新たな一歩を一緒に歩みだしましょう!
2023年3月2・3日、「第52回中小企業問題全国研究集会in長野」が開催され、会場・オンラインあわせ1500名を
超える経営者が参加し、新潟からも合わせて30名が参加しました。新潟からのバスツアーも行い、新潟・長野間に
バスの中でそれぞれの課題を話し合うプチグループ討論が繰り広げられたり、分科会・討論の学びを共有したりと、
2日間の学びを感じ取られていました。参加者を代表し、3名の感想をご紹介します。
㈲能登新
代表取締役社長 山貝 誠 氏
(村上支部)
私自身全国規模の同友会行事へのリアル参加は3年ぶりでしたが、第11分科会「事業承継〜社員から社長へ経営理念が繋いだ事業承継~」に参加させていただき、第6グループ長の任もいただき大変学びの多い分科会でした。会社名「アルカデイア」は理想郷という意味を持った会社ですが、前社長の松井氏は、親族以外への内部承継の発表の中で、事業承継する為の課題や難しさ、事業承継と事業継承の違いや壮絶な葛藤は、もしも自分だったらと深く考えさせられました。初めは2人いる親族継承を進めていましたが、いざ社長交代の重責から、長男はプレッシャーで厳しく、長女は鬱になり、親族継承を断念し、家族の理想郷にはなりえませんでした。春原現社長が社員から受け継ぐ難しさと経営理念が紡ぐW報告分科会でした。現社長春原氏が社長就任時、現会長は親族役員を涙で解雇し、経営がやりやすい環境を創り前に進む姿は、今思い出しても涙が出てきます。グループ討論も、継承をする側と、後継とでの活発な討論になり、学びの多い分科会でした。
㈱桂林
代表取締役 海瀬 弘典 氏
(上越支部)
私は第三分科会「事業定義の見直しから地域づくりへ」に参加しました。報告者は富山の松井エネルギーモーターズ株式会社代表取締役 松井健彰氏と、兵庫県立大学大学院社会科学研究科教授 内田康郎氏がアドバイザーとして登壇しました。
報告者の松井エネルギーモーターズの松井社長は、人口2万人程度で人口と車の所持台数は減少中の上市市でも、カソリンスタンドから自動車販売整備業まで事業拡大しています。
報告のポイントは、①人口減・市場規模が小さい外部環境下でも、事業定義を地域の人が求めている地域課題の解決とすること。②事業環境が悪くとも、対面のメリット(顧客の声を聴き、それを可能にすること)で、イノベーションはおこせる。ということを挙げていました。まずは事業を再定義し、実践をし続け、アンゾフの成長マトリクスを中核に置いていた。
「ハッピー上市会」について、行政や地域とのやり取りを直接聞けたこと、当日の懇親会では新しい出会いがあったことが大きな収穫となりました。
有限会社滝本工務店
代表取締役 滝本 勝 氏
(燕支部)
今回参加したオンライン分科会のテーマは"地域づくり"。報告は広島同友会の立石代表理事と、義務教育学校小1から中3までの9学年の校長先生とその生徒が参加した分科会は全国でも初めての取り組みでした。その中で7年生(中学1年生)からコミュニティースクール模擬会社リンクスを作り、生徒自身が商品を作り販売し、生徒が自らつくった経営理念「お客様、地域と会社がつながって一丸と社会に貢献する~自ら考え判断し行動する事で笑顔と感謝の虹をかける~」を掲げています。その社長(9年生・中学3年生)は大切なこととして、①聞き役になること ②笑顔、強い想い、コミュニケーション能力でポジティブに考えるとの2点を報告されました。地域、学校、家庭、が子供像の意識を考え、地域の中に学校を、学校の中に地域を、まさに「子供が育つと職員が育つ」と全国から注目を集めています。「いこる※ところに人は集まる」是非、地域の火種になれるよう研鑽したいと思います。
いこる※=広島東部の備後弁 赤々とした状態の炭を指し、“いこる”ところから周りに点火する火力と持続力がある