広報誌同友にいがた
2022年8月号
新潟県中小企業家同友会
広報誌 DO YOU KNOW?にいがた 8月号 Vol.414
■表紙
着るだけで「特別な1日」に変わる着物を。
【ヤママツ武者呉服店 店長】
武者 将由 氏 村上支部
■Contents
◇PEOPLE LIFE data No.027
未来を創る! 新潟の企業家たち
大切な家業を守る
ずっと残り続ける企業へ
武者 将由さん
ヤママツ武者呉服店 店長
◇企業進化論 Vol.90
歴史に隠れたストーリーを訪問インタビュー
株式会社平八
◇今月のイチオシ
企業の商品やサービスなどをピックアップ!
村上発! 全国初となる新しい振袖!!
◇ANOTHER REPORT
例会や行事の報告など、情報共有の場としてフリーテーマで同友会の情報を発信します。
第8回関東甲信越経営者フォーラムin新潟
【集まれ!笑顔あふれる人の森】
◇INFORMATION
第50回青年経営者全国交流会in兵庫
開催・お申込み受付開始のお知らせ
新入会員紹介
- PEOPLE LIFE data
- 企業進化論
- 今月のイチオシ
- INFORMATION
- ANOTHER REPORT
家業と私
ヤママツ武者呉服店は、昭和25年12月に祖父の松四郎が創業し、衣料品の販売を行ってきました。終戦後に村上に戻った祖父は(経緯はわかりませんが)一から呉服店を創業したそうです。現在は、父の秀雄が代表を務めており、私は次代三代目となるべく、武者呉服店の店長を任されています。
私は7年前に地元に戻ってくる形で入社をしました。小さな頃から家業として見てきた呉服店ですが、後継ぎについては考えたことはなく、高校から群馬の大学へ進学。就職活動の際に、漠然と仕事について考え、「実家が呉服店だから知らないよりは知ってる世界に」と軽い感じで着物販売会社へ入社しました。ショッピングモール内の店舗の店長をし、関東や東北を転々としていると、母から「そろそろ帰ってきて手伝ってほしい」と相談され、帰郷を決意します。実のところ、いつかは地元に戻りたいと思っていました。また、『武者呉服店を残していきたい』と強く想うようになっており、家業に戻ってくることができました。
私の想い
今までショッピングモール内の店舗で働いていた私にとって、“地域の呉服店”という店舗にお客さんを呼び込む販売スタイルは、思っていたものと全然違いました。ショッピングモールでは別の目的で来たお客さんを呼び込み、購入してもらう「ついで買い」が多く、「武者呉服店に服を買いに来る」というお客さんへは声の掛け方ひとつから違う接客になりました。少しずつ家業に馴染んでいき、いかにお店まで来てもらうかというところに注力しています。
また、私が戻ってからは、99%が洋品だった商品に着物を取り入れはじめ、現在では50%ほどは着物を取り扱う用になりました。洋品や学校の制服などを父・母が、私が着物類を担当しています。
着物には、洋服にない特別な力があります。何気ない1日、ちょっとしたお出かけが、着物を着るだけで、特別な1日に変わります。そのことをもっと皆さんに感じていただきたいと思っています。
私がそう感じるようになったのは2011年、震災の半年後に転勤の決まった宮城県の店舗でのことでした。移動中に見えたのは津波で泥だらけの街、1階部分が骨組みだけになり、2階部分だけが残る家々、流され川の中に立つ家。こんなところに自分の仕事があるのか、と不安に思っていると、着物修繕の持ち込みが多くありました。泥だらけだったり、とても傷んでいる着物を、持ち込んだお客さんがそれぞれの思い出を話しながら預けてくれます。きれいに修繕した着物を渡すと、泣いて喜んでくださるお客さん。今まで、売り上げやノルマをこなすことしか考えておらず、お客さんを“数字”だと思っていた私の考え方や想いが変わった時でした。
経営と将来と同友会
呉服店に限らずアパレル業界は非常に厳しい時代が続いています。そんな中で私が次期三代目として戻ってきたのは、「この店を残していきたい」という想いがあるからです。
入社して7年、業界初となる「夏振袖」を開発し、販売を開始。これからの展開に大きく期待しつつも、同時に自分の感覚に不安を覚えることも増えました。ちょうどその頃、子供のころからのバスケ仲間である菅原保さん(株式会社大川屋製材所 村上支部)に誘われ同友会へ入会します。先輩経営者のお話、同世代の経営者との会話にはとても刺激を受けています。経営について、自社についてしっかり考えたいと思い、第6期経営指針成文化と実践の会を受講することも決めました。
自分にしかできないこと、自社の長所伸ばしたい・見つけていきたいと思っています。
★今月号のイチオシでは、武者呉服店さんの「夏振袖」を紹介しています!
ヤママツ武者呉服店
代表 : 武者 秀雄 氏
会員 : 武者 将由 氏 店長(村上支部)
事業内容 : 呉服・和装小物・婦人服・学生衣料品の販売・小売業
住所 : 村上市平林56番地
TEL : 0254-66-5038
創業 : 昭和25年12月
従業員数 : 2人
株式会社平八
株式会社平八は、城下町高田の仲町に大正2年に魚屋として創業しました。仲町は古くから料亭が数多く並び、取引を行ってきました。そんな中で、引き出物のかまぼこの需要が非常に高く、業態を魚屋からかまぼこの製造販売一本に絞っていくことになります。昔に比べると料亭や飲食店の数は減ってきていますが、ECサイト等オンラインの販売が可能になったことで、幅広いエリアに平八のかまぼこを届けることができています。
私は四代目として2000年に入社。それまでは新潟市の大手百貨店で外商を行っていました。家業の代表を務める父からSOSともとれる相談は何度も聞いていましたが、当時会社内でももっと上を目指せる状態だったこともあり、家業に入ることはあまり考えていませんでした。ある時実家に戻った際、平八の社員から「いつ戻ってくるんですか?」と相談をされます。この時に「あぁ、平八は今本当に大変なんだな」と真剣に考えることになり、実家に戻ることを決意しました。
経営指針と同友会
学び方を学ぶ
30名の会社は仕事の状況に比べて社員が多く、規模を縮小する必要があり、私が会社に戻って一番最初の仕事は社員のリストラでした。2018年に代表取締役に就任し、現在は製造・営業・事務員を含め20名となっています。
同友会へは2002年に入会。2006年に受講した経営指針を創る会(現経営指針成文化と実践の会)では、メンター(現サポーター)から「横山さんは人の話を聴いていない」と言われ、多くのことに気づかされました。自分の考え方や自分の理念は、会社の本当の理念と合っているのか、そう考えることができ、作成した経営指針の表紙には【魂】の文字を入れ、自身が不安になった時、悩んだ時に立ち返れる物にすることができました。
同友会は、学ぶことを学ぶことができる場所です。例会では、報告者の話を聴いて、グループ討論ではその感想を話し合うのではなく、それぞれの会社に置き換えて議論を行う。それぞれが自社について語り合うことで、お互いの話を深堀し、尊重し高めあうことができると思っています。
平八とかまぼこの未来
“名を残すこと”
コロナ禍に入り、冠婚葬祭が行うことができなくなり、引き出物の注文がほとんどなくなってしまいました。これは一過性のもではなく、今後も冠婚葬祭の全体数が大幅に回復するとは考えていません。まさに現在がターニングポイントであり、今まで以上に【選ばれ続ける企業】にならなければいけません。
今取り組んでいることは、かまぼこを健康食としてPRしていくことです。かまぼこは高たんぱくで低カロリーで、健康食品としてはど真ん中の効果があると考えています。
平八のかまぼこのこだわりは、製造過程です。石臼で練り、素材そのものの良さを生かした柔らかい風味や滑らかさ、きめ細かい食感が他にない強みになっています。
「平八のかまぼこを食べたい」と言ってくれる人がいる限り、私たちはかまぼこを提供します。それを叶え続けるために、会社を残し続けます。
村上市で呉服店を経営するヤママツ武者
呉服店さんから、今までの感覚を覆す新アイテム「夏振袖」のご紹介です!
振袖は、一般的には大人の未婚女性の第一礼装と言われ、成人式や結婚式で着用されており、所説ありますが江戸時代に誕生した文化と言われています。
振袖の晴れ舞台ともいえる成人式は、全国の自治体で開催時期が違います。県内でも時期はバラバラで、長岡市・佐渡市等多くの地域は8月に開催しています。
ヤママツ武者呉服店のある村上も成人式は8月に開催されており、女性は洋装が主流です。それは、暑いから。夏開催の成人式では、生地が厚い着物は当然暑いです。そのため、「振袖が着たかったけど着れなかった。」という声をよく聞きます。私はこんな思いをなくすために、“夏でも着れる振袖”の開発を行ってきました。
昨年販売を開始した【夏振袖】は、浴衣生地を使用することで一番の問題だった暑さを和らげることが可能となりました。また、選び抜いた生地は浴衣の夏らしさと振袖の品格や艶やかさを持つ理想的な物を使用しています。
夏振袖の一番のポイントは“2way仕様”。振袖として成人式で着用した後、袖を付け替えることで浴衣としてき続けることができます。「成人式で着たっきり・・・」とならず、身近な機会で着続けることができるようになっています。
そして、浴衣生地を使うことで、価格もフルセット88,000円まで抑えることができました。一人でも多くの方に成人式で和装を着ていただく選択肢になればいいなと思っております。購入以外にも、38,000円で一週間のレンタルも行っています。通常の振袖と違い、急遽のレンタルでもご対応させていただきます。
成人式の振袖は、何年もかけて準備をして晴れ舞台を迎えます。「着てみたいけど・・・」とお悩みの方がいらっしゃいましたら、ぜひ【夏振袖】をご紹介ください。
ヤママツ武者呉服店 店長 武者 将由 氏 (村上支部) 記
ヤママツ武者呉服店
住所 : 村上市平林56番地
TEL : 0254-66-5038
代表 : 武者秀雄氏
店長 : 武者将由氏(村上支部)
業務内容 : 呉服・和装小物・婦人服・学生衣料品の販売・小売業
創業 : 昭和25年12月
従業員数 : 2人
9月15・16日、第50回青年経営者全国交流会in兵庫が開催されます。【圧倒的な発想転換】をメインテーマに全国から青年経営者を中心に多くの経営者が集い、学び合います。分科会はテーマごとに20分科会に分かれており、各社の課題の解決やヒントに繋がる分科会が必ずあります。完全リアル開催となる青全交 in 兵庫で、自社を新たなステージに進める「発想転換」について考えてみませんか?
申し込み締め切りは8月31日までです。ぜひご参加をご検討ください。詳細は同送のリーフレットをご確認ください!お申込みをお待ちしております!!
6月4日、朱鷺メッセにて第8回関東甲信越青年経営者フォーラムin新潟が開催されました。
関東甲信越だけでなく、全国の若手経営者を中心に多くの参加者が朱鷺メッセとZoomより517名が参加されました。設営に関わった3名の方からの報告をご紹介いたします。
実行委員長
株式会社 大川屋製材所 代表取締役
菅原 保 氏(村上支部)
この度、実行委員長を仰せつかり、第8回関東甲信越青年経営者フォーラムin新潟を無事終えたこと厚く御礼申し上げます。当日のギリギリまで動員にご協力いただき、500名を超える仲間からご参加いただきました。これも、みなさんから支えられて成し得たことです。本当にありがとうございました。また、新潟メンバーをはじめ、実行委員会、そして携わっていただいた仲間に本当に恵まれました。このご縁に感謝致します。本当にありがとうございました。
約1年前、実行委員長となり、ようやく今、胸を張って実行委員長と言えるようになりました。実行委員長を通じて自身と向き合い、みなさんを介して自分とやり取りをしました。私は、地元のことや地域のこと、そして未来のことなどを大切にして考えていました。しかし、結局は「人」だったことに気づき、原点はここであるのだと自身の中で理解しました。人と深め合うことで、仲間になったり、彼氏彼女になったり、家族になったりします。そして人が地域をつくり、会社をつくり、国をつくります。「仲間と出会い」「お互いが人として認め合い」「関わり」「切磋琢磨すること」が、関東甲信越青年経営者フォーラムの醍醐味だと感じました。
大変でしたが、サイコーでした!本当にありがとうございました!あつもりー!
第1分科会 室長
株式会社ヤマノイ 代表取締役
山ノ井 道夫 氏(村上支部)
第一分科会では「未来へ繋ぐ」をテーマに分科会を行いました。当初、私は菅原実行委員長から座長の役をお願いされましたが、最終的には埼玉同友会の八島君に決まり私は室長になりました。今までの室長の役割は当日までの段取りやタイムキーパーなど行えばいいと思っていました。しかし、2月から始まった実行委員会に参加をして、室長の役割は「報告者と座長と一緒に例会づくりをすること」と気づかされました。
報告者と座長だけで作るのではなく室長の立場からも様々な目線で伝えたり寄り添うことにより、更に内容がブラッシュアップされ、報告者の鎧を脱がすことができたと思います。この3人が本気で腹を割って話すことで伝えたい報告ができ、当日の報告やグループ討論がいいものとなり、参加された方にとってプラスになる学びができたと思います。振り返ると、この5カ月間あっという間に時が過ぎましたがとても良い仲間といい時間を過ごすことができました。関東甲信越フォーラムのみんなと作り上げたからこのような分科会になったのだと実感しております。主体的に関わることが自分や自社の成長はもちろん、相手の成長にも繋がるということをフォーラム全体を通して学びました。
青年部会長
エフテクニクス株式会社 代表取締役
藤島 俊祐 氏(新潟支部イースト地区)
一年がかりのフォーラムが終わりました。まずは参加された皆様、設営に携わった実行委員会の皆さんへお礼申し上げます。
このフォーラムは新潟同友会と1都8県の各地青年部の仲間たちと共に、ほぼ一年がかりで作り上げてきました。自分自身、一番の課題は新潟県内の動員を伸ばせなかったこと、一番の財産は県内外の多くの仲間を得たということです。この経験から、自分一人では何もできない、このことをより鮮明に意識させてもらいました。ただ、ひとつ事業を終えた後にここで終わりではなく、まず県内では、継続した青年部会活動の中で携わった皆が、それぞれ成長できる青年部会の組織や仕組み作り、県外では来年のin東京に繋ぐという大切な仕事が残っています。
一つ終わり、また次に向けて歩みだします!