広報誌同友にいがた
2024年8月号
新潟県中小企業家同友会
広報誌 DO YOU KNOW?にいがた 8月号 Vol.436
2024年8月号
新潟県中小企業家同友会
広報誌 DO YOU KNOW?にいがた 8月号 Vol.436
■表紙
農業者が健やかな未来を
描けるような労働環境の構築実現
【飯塚農園 園主】
飯塚 英晃 氏 三条支部
■Contents
◇PEOPLE LIFE data No.049
未来を創る! 新潟の企業家たち
未来を考えられるようになってからの変化
飯塚 英晃さん 飯塚農園 園主
◇支部・委員会・部会活動報告
それぞれのテーマを専門的に学び、問題を解決!
村上支部/三条支部/増強委員会/青年部会
◇新入会員紹介
◇私とお話しませんか?会員交流の館 vol.13
◇ANOTHER REPORT
例会や行事の報告など、
情報共有の場としてフリーテーマで同友会の情報を発信します。
第27回女性経営者全国交流会in大阪 参加レポート
- PEOPLE LIFE data
- 委員会・部会活動
- 新入会員紹介
- 会員交流の館
- ANOTHER REPORT
就農、そして事業継承
幼少期から兼業農家の父が営む飯塚農園の「後継ぎ」と言われ育った私は、抵抗なく21歳の年に就農しました。そして14年目のこと、祖母の法要の折、父から突然親戚がいる前で「本日から飯塚農園と家督を長男に引き継ぐ」とサプライズ事業承継されました。承継後に実印と共に台所で投げ渡された通帳を見て気づくのですが、飯塚農園の運営は思っていた以上に厳しい状態でした。私の経営者としての仕事は、翌年の運営費を工面するところから始まることとなります。
当時は全てを丸投げした父や、見て見ぬふりの身内へ腹を立てていましたが、今考えれば先行きの不安定な農業と他責野郎だった後継ぎである私とのはざまで悩み、結果ギブアップしたのかもしれません。
同友会に入会したきっかけ
ショッキングな事業承継でしたが、実は父の行動を予測し妻と準備をしていて、妻が何とか家計を工面しながら個人的な貯蓄してもらっており、そのお金をイニシャルコストの一部として事業投資しました。綱渡りのような最初の2年間を乗り越えることができただけでなく、父が突然一切関わらなくなったことを逆手に取り、一気に新しい技術を導入することで売り上げを2倍程に上げ、V字回復することに成功しました。そして初めてスタッフを雇用することも出来ました。
一方、私は私が突然死んでも妻やスタッフが途方に暮れないように、進むべき道標として経営理念を作成。定めたばかりの理念に芯を通すために燕三条青年会議所(JC)に入会し当時理事長であった㈲神田板金の神田晃さん(三条支部)の下で勉強をさせていただきました。JCを卒業する際、神田さんから「経営理念を成文化出来る、君にぴったりな会があるけど入会しないか」と誘われ同友会に入会。数か月後には「第6期経営指針成文化と実践の会」に申込をしていました。
経営指針成文化と実践の会を受講して
最初は、「経営理念も作っているし、農業も軌道に乗り今更何を言われてもやって行ける」という自信があったため、壁を作ってサポーターの助言を跳ねのけていました。2講まで耳を塞いでいた感じです。しかし今思うと大きな勘違いで、今までの人生設計は自分と妻が勘定に入っていない壊れた電卓で計算していたのです。
「理念もあるし私が死んでも仕事は残るから妻や家族、社員は途方に暮れないだろう」と毎日全力で常に命を燃やしていましたが、サポーターから「飯塚さんが死んだら、奥さんは実家を出て、社員は辞めると思うよ」と言われ考えました。そこで自分も大事なんだと気が付き、考えが変化するきっかけを頂いたと思います。
経営指針の第1講の課題の中で私は【承認欲求の奴隷】という言葉を使いました。それがずっと心に引っかかっておりましたが、私が命を燃やしていた理由は「私自身を認めさせたい」、「父や身内の皆さんに認めてもらいたい」、「今まで先祖が繋いでくれた飯塚農園を守り褒められたい」という想いが単語になって出てきたのかもしれません。妻をはじめ私を支えてくれた方々もその私の承認欲求の犠牲になっていたのだと気が付きます。
言葉では言い表せられない程の苦労を掛けてしまった妻の支えがあったからこそ、今の飯塚農園があります。経営指針で過去に囚われていた自分に気づき、未来を考えられるようになったら気持ちが楽になりました。
妻の未来、社員の未来、そして飯塚農園の未来を考えられるようになり、心にゆとりが出来ました。指針受講前は、妻はきっと暗闇の中で不安だったと思います。受講後は向かう方向が明確になり、迷うことが無く気持ちが楽になったと妻から言ってもらいました。
ですから指針を受講して良かったことは「辛い過去を乗り越えた実績と自信、そして苦難をくれた両親への感謝へとポジティブに変化していたこと」ですが、なにより一番は 「妻の機嫌が良くなった!」ですね!(大笑い)。
将来の夢と10年ビジョン
現在、売り上げの6.5割がアスパラガス、3.5割が稲作です。アスパラガスの生産量を増やし、県内生産量の10%を生産し、「1億円企業」にすることが数値目標で、それは10年ビジョンである【就農者が健やかな未来を描けるような労働環境の構築実現】のためにあります。
雇用を守り、法人化し、多くの人が農業に触れあえる場となる施設を作りたいと思っています。互いに共感し、互いを理解し合い、夢を語り合える職場環境が必要だと思っています。夢として55歳で承継の準備に入り60歳で引退し、苦労を掛けた妻と世界一周旅行に出かけることを約束しました。
これからも県内外の同友会員と情報交換して、ポジティブな刺激交換をし、また自分も皆さんに刺激を与えられる人物になって1年1年をしっかりとやっていきたいです。
飯塚農園
園主 : 飯塚 英晃 氏(三条支部)
事業内容 : 農作物の生産・販売
住所 : 三条市東本成寺96
TEL : 0256-34-0190
https://iizuka-farm.com/
創業 : 2016年
従業員数 : 2名
最近の村上支部の特長は、支部活動以外の同友会活動を通じた交流や学びの場で刺激を受け、それを村上支部の活動に活かしてくれる会員が増えていることだと感じています。毎年、経営指針成文化と実践の会を受講する会員がおり、多くの会員がサポーター役を務めています。例会に活気があるのも、指針の会や青年部会活動で共に学んだ他支部の仲間たちが参加しているからだと思います。
例会の運営に関しては、何度もプレ例会を開催し、丁寧な準備を行っています。村上支部の例会は月一回ではなく、回数を減らし、その分、しっかりと準備をして例会の質の向上を図っています。
もう一つの特長は、よい経営環境をつくるための取り組みです。村上市では平成28年に「村上市中小企業振興基本条例」が制定されました。昨年から条例の具体的な進展を目指して村上市地域経済振興課と情報交換を重ね、昨年から今年にかけて行政や金融機関、教育関係者を交えて3回の条例勉強会を開催しました。今後は全国の事例に学び、村上市独自の条例推進を進めていきたいと考えています。
村上支部は今後も経営を本音で語り合う地域で唯一の会として、「よい会社、よい経営者、よい経営環境」を目指して活動してまいります。
村上支部長 加藤善典(㈱加藤組 代表取締役)記
三条支部長 櫻井です。昨年度2023年から支部長となりまして今年度で2年目を迎えます。今回は私が三条支部について考えていること、こんな組織でありたい、そして今年度の活動について少しお話したいと思います。私が考えている三条支部、それはとにかく「間口は広く。そして敷居は低く。」です。この組織では日々起こる身近な問題、あるいは各企業の取り組みや課題について参加者同士がたわいもない雑談ができるスペースでありたいと思っております。もしその場所で行われている活動以外にさらに知りたい事、またはより深く学びたい事があるのであれば、別のスペースが用意してあり、それが経営指針成文化と実践の会や青年部会や女性部会などの各種委員会部会だと考えております。支部内には熱量の高い人、活動に消極的な人、様々いらっしゃいます。そして売上規模、職種も多種多様であり、そんな方々がいつでも「この場所」を訪れてもらえるスペースを提供したい、と同時にその場所にもっといろいろな方々に訪れてもらって当該支部を知っていただきたいのです。先般、3月23~24日に「三条支部設立20周年」と銘打って支部設立以来、初めての旅行を行いました。そこでは、過去の活動を振り返り、画像をスライドにしていただきました。すでに退会された会員さんの写真、今より明らかに若い現会員さんの画像を見ながら昔話に花を咲かせました。なによりも予想以上の参加者の数に驚かされ、とても楽しい時間を過ごす事ができ、大成功の旅行であったと思います。
「親しく、ひとつになる。」私は残りの期間、この言葉をキーワードとして、これから先の三条支部の土壌が作れるのであればと考えています。それは三条支部のコミュニティはこれからも、この先もずっと続くので、その為の1ページが描ければと思っているからです。
三条支部長 櫻井亮介(㈲櫻井商店 代表取締役)記
2023年度、本間英樹委員長率いる増強委員会が狼煙(のろし)を上げました。各支部より実力・個性あるメンバー達が集結し、各支部で『ウエルカム同友会』を開催。少しずつではありますが広範囲に仲間が増えてきました。
2024年度は仲間になってくれた新入会員のみなさまに、支部での活動では分かりにくい委員会・部会の活動内容や今後の計画などを各委員会・部会から分かりやすく説明して頂いたり、参加された方の「?」に応える『同友会オリエンテーション』を新らたにスタート。「事務局の場所を知ってもらい、事務局員を身近に感じてもらいたい」ということもあり、毎月事務局をリアル会場とし、Zoomもありのハイブリッド形式で開催しています。新入会員同士、また支部の枠を超えた交流を深めて同友会活動・運動の意味を知ってもらい、共に地域を盛り上げていく仲間づくりにも動き出しました。参加された新入会員さんからは「○○委員会に入りたい!」「他の委員会・部会にも興味があるから次回も参加したい」などの感想が寄せられました。私も毎回色々な興味や学びを得てワクワクしています。
ぜひ、委員会・部会の活動や同友会運動がまだよくわからないという方、何かのきっかけを探している方は同友会オリエンテーションでお待ちしております。もっと同友会を知り、一緒によい会社・よい経営者・よい経営環境づくりをして行きましょう。
★今年度の同友会オリエンテーション開催予定は同封の案内よりご確認ください。
★今年度より、ウェルカム同友会は「入会候補者ゲスト」を対象として開催いたします。
増強委員会 副委員長 本多貴之(ミノル製作所㈱ 代表取締役 燕支部)記
第10回関東甲信越青年経営者フォーラムin山梨において、新潟副実行委員長を務めさせていただきました。小規模企業の経営者として、組織運営に不慣れな面もありましたが、実行委員の皆様のご支援により、役割分担や運営方法について多くを学ぶことができました。
2023年12月、自社の経営悪化により副実行委員長辞退を考えましたが、委員の方々が集まり、現状打開策や励ましの言葉をくださいました。2ヶ月の活動休止を経て、フォーラム活動に復帰できたことは、新潟青年部会の温かさを実感する貴重な経験となりました。
このフォーラムを通じて、自身の課題や経営上の問題点が明確になりました。現在も経営状況は厳しいものの、この経験を自社の経営改善に活かすとともに、青年部会活動にも還元していく所存です。
フォーラムでの経験は、経営者としての成長だけでなく、人とのつながりの大切さを再認識する機会となりました。今後も、この学びを糧に、自社の発展と地域経済の活性化に尽力してまいります。
筆者 副実行委員長 齋藤翔太(㈱SCアカデミー 代表取締役 新潟支部)記
高橋:今回9月19日に青年経営者全国交流会in宮崎(以下青全交)が「集え!変革者~日本のひなたから照らす未来~」というテーマで開催されますが、その第7分科会で藤島さんが報告者になりました。どういった経緯だったのでしょう?
藤島:まずは神田青年部会長にお声がけいただき立候補し、関東甲信越で担当の3枠のうちの一つに選考の上抜擢されました。青全交で新潟からの単独報告者は4年ぶりになります。
高橋:渡邊さんがその分科会の座長になられたのはどういった経緯ですか?
渡邊:藤島さんが報告者に決まったということで、新潟同友会内で座長を選出することになり、藤島さんが部会長時代に私が幹事長を務めていたこともあり、立候補して承認をいただきました。
高橋:お二人とも立候補という共通点があったのですね。青全交という全国大会ですが、今まで何度か参加されてきたかと思いますが、藤島さんの青全交へのイメージはどういったものですか?
藤島:これまで参加してきた中で、元気な若い青年経営者が多い印象ですが、年齢の高い方々もたくさん出席されています。実際以前のグループ討論では45歳以上の方の方が多かったくらいです。全国大会に参加されている方々の多くに当てはまるのですが、全国や関東甲信越といった広い枠組みの会に出席して色々な方とお会いする中で、新潟では少ない同業の方との交流が生まれて参考になったり、新潟では見たこともないような企業規模の方も多くいて、県内にいるだけでは関わることのできない方々から多くのことを学ぶことが出来ました。「青年部会」対象の方に限らず、多くの人に参加していただきたいです。
高橋:渡邊座長は藤島さんの報告を含め、どんな分科会にしたいと考えていますか?
渡邊:「人を生かす経営の実践」という分科会テーマのもと、「自分らしさの追求が、未来を変える~社員が輝く企業を目指して~」というタイトルで報告するわけですが、そのタイトルを決めた経緯や、社員を大切にする経営理念についても引き出したいと思っています。
高橋:8/29(木)に青年部会と新潟支部合同の例会で藤島さんのプレ報告を聞くことが出来ると聞きました。どんな例会になるのでしょう?
渡邊:新潟から全国大会の舞台で報告する仲間を新潟県内で盛り上げたくて開催に至りましたので、本番の熱量さながらのプレ報告だけでなく、例会では青全交に行くことの意義やこれまで参加した上での経験談を参加経験が豊富な青年部会卒業生の方々に紹介してもらいます。経営って矛盾だらけ、社員にいい顔ばかりしていられない、はっきりしなくてはならない部分をどうしていくかなども含めて、トップダウンだった社員との関係を幹部の会の発足と会議内容の社内共有を徹底するようになるなど、青年部会の部会長としての経験や自治会長などの組織運営の経験がこの会社組織の変化に生きている。「テクニックではなく気持ち」という藤島さんの報告内容を多くのメンバーに体感してもらいたいと思っています。
高橋:これは9月の青全交だけでなく8月29日の例会も楽しみですね。多くの方々に参加していただきたいものです。
6月13・14日、第27回女性経営者全国交流会in大阪が開催されました。
会場に1200人弱、オンラインを含めると1300人を超える参加者が集いました。
過去最大規模の参加動員を記録した大阪女全交には新潟から9名が参加。
その中から2名の方の報告をご紹介します。
とりやま保険㈱ 代表取締役 鳥山 道子 氏(村上支部)
男性の参加率過去最高の49%という今回の女全交。何だろう?この雰囲気は?とても自然で良いバランス。男女比率50対50はこれからの同友会の近い将来を示唆するような気がして、とても嬉しくなりました。
私は、開催地大阪同友会の㈱Re-fa 原田直美氏が報告される第4分科会に参加しました。夫が創業し自覚のないまま経営陣へ。椅子やソファの修理メンテナンスという職人の仕事。働き方改革に取り組むも社員の依存を生み出し失敗。自立こそ大切と、自分を知る教育や多くの仕組みづくりを実践し続け「ひとりで」から「会社全体で良い仕事を」へと大きく変わっていきました。また地域活動にも力を入れており、小中高生のインターンシップ・出前授業を通して社員のモチベーションが上がり新たな気付きもあります。
「四つの期待(生活者の視点・草の根運動・平和の担い手・原点活動)」の実践であり、正に「人を生かす経営」の報告です。この分科会に参加できて良かった!今も感動が止まりません。
(一社)土の香工房 代表理事 早津 薫 氏(上越支部)
昨年末に同友会に入会して、まだよくわからない中での大阪開催・女全交への参加。皆さんのパワフルなエネルギーをリアルに体感した2日間でした。
私が参加したのは、徳島同友会(一社)キラニコの代表理事、後藤真美氏が報告する第7分科会でした。
私と同じ障がい福祉事業である就労継続支援B型事業所を運営されていて、職員お一人お一人もそのご家族もみな一つの家族というお考えのもと、共に考え、共に育つ、働き続けられる仕組み、人と生きる実践を形にし、その思いから考えられたユニークな制度「貸付手当」「留守番手当」など心理的に安心できる環境づくりをととのえられていることにとても感動しましたし感銘を受けました。
とにかく明るくて、笑顔が素敵な後藤さん。まず自分が元気で明るく笑顔でいることの大切さ、まぁ本当に大阪で出会った皆さんはお元気でパワフルでした。
帰ったらすぐにひとつでも多く真似をして、自社に生かしたい!と強く思いました。元気をもらいました。参加させていただき感謝です。